新卒日本語教師の苦労シリーズ①授業準備(『できる日本語』使用)

目次

日本語教師になって、
誰もがぶつかる壁
【授業準備】

今回は『できる日本語』を使った授業準備について、どこから取り掛かれば効率がいいかどう準備していけばいいのか についてお話ししたいと思います。

『できる日本語』を初めて使う方や、授業準備の仕方がわからない方は必見です!

※『みんなの日本語』で授業をされる方には想像がつきにくいかもしれません。
 しかし、準備する中で重なるところもあると思うので参考程度にご覧ください。

手順

  1. 文法分析
  2. 教科書の場面とつなげる
  3. 別冊の内容・規則性を確認(接続や品詞に注目)
  4. 言ってみようの導入を考える
  5. やってみようの活動を考える

1.文法分析

まずは、一番大きな壁となる文法を分析します。この文法分析さえ終わってしまえば、あとは流れるように終わっていきます。
新卒日本語教師の方に限らず、日本語教師になったばかりの方は特にここで時間がかなりかかってしまうと思います。私もそうでした。

効率的に文法を調べていく手順↓(3年目にしてやっと確立した方法をお教えします。


①いきなり文法書を見ない、自分でいつ使うかイメージする


②簡潔に文法が紹介されている文法書を見る
 おすすめの文法書↓
どんなときどう使う日本語表現文型辞典

改訂版 どんなときどう使う 日本語表現文型200 単行本(ソフトカバー)

※上記の時点と同じ内容ですが、意味ごと(推量、条件、依頼など)に分けて書いてあるので似たような文法を一気に見られて便利です。


③いくつか自分で文を作ってみる
このとき、学生が使いそうな場面、簡潔でわかりやすい例文を意識することが大切です。
少なくとも3つ、できれば5つは自分で作れるといいですね。
例文を作ることで「どんなときに」「どう使っているのか」が だんだん理解できるようになります。
 
※『できる日本語』は場面が設定されているので、文法説明をするときにそのまま教科書の場面が使えてしまうときもあります。まずは教科書がどんな場面なのかを見てみることもおすすめです! 


④接続を確認する
例文を作るときにも意識できるといいですが、最初は1回例文を5つ作ってしまうことをおすすめします。(使う場面を理解するためです)
 

初級であればここまでで大丈夫です。

初中級、中級になると今までに学習した文法で似たようなものがあるので、
その文法との違いを見つけるために、もう1レベル上の文法書を読みます。
そして、その文法が使える例文、使えない例文を3つ~5つ探していきます。
このとき、私は文法書だけでなく、ネット上の例文も見たりします。

おすすめの文法書↓
“生きた”例文で学ぶ 日本語表現文型辞典

くらべてわかる日本語表現文型辞典

初級を教える人のための日本語文法ハンドブック
※このハンドブック、結構持っている方が多いと思うんですが、日本語教師になりたての頃に見てもさっぱり理解できませんでした。
詳しすぎて迷子になるので、私は助詞がわからないときや、↑で紹介した文法書でどうしても納得できなかったときに開きます。そのため、最後の方に紹介しました。


2.教科書の場面とつなげる

文法分析が終わったら、次は教科書の場面とつなげていきます。

流れとしては (話してみよう→聞いてみよう→)状況イラスト→コマイラスト→CD→文法説明

になるのですが、文法説明のときにこんな状況で使う!というのがわかっていると、状況イラストやコマイラストで学生に注目させる点がわかります。
『できる日本語』には、その仕掛けがちりばめられているので、上手く導入する文法につなげていくのが大切です。

最初は仕掛けがわからず、何に注目させればいいのかもわからないと思います。文法を理解した上で状況イラストやコマイラストを何度も見ると次第にわかってきます。

(ちなみに私は半年~1年くらいは流れ通りするのに手一杯で、イラストのありがたさがわかってきたのは2年目くらいからです(笑))

3.別冊の内容・規則性を確認(接続や品詞に注目)

文法説明が終わると別冊(ドリル)の練習に入ります。

別冊では、品詞や動詞のグループ分けを確認したり、新語の確認をしたりします。
練習1と練習2で分けられていることがあるのですが、たいてい動詞のグループが違ったり、品詞が違ったりすることが多いです。

その点を確認していきましょう。

4.言ってみようの導入を考える

言ってみようの会話そのものがコマイラストと全く同じ流れであれば、コマイラストを見せて確認したあと、言ってみように入ればOKです。

ですが、全く違う会話になっていたときは、まずその会話になる状況を口頭で説明する必要があります。口頭で説明するときに何と言ったら理解しやすいかを教案作成時に考えます。

ただ、学習者のレベルによっては教科書通りの会話は難しいということもあると思います。
そのときは導入文法を使った別の場面(学生に身近な場面)に置き換えてしまっても大丈夫です。

言ってみようの会話練習が、ただ音読する状態になってしまうともったいないですよね。
学生が楽しんでできる会話練習にするためにも場面を考えましょう。

5.やってみようの活動を考える

最後は やってみよう の活動を考えます。

やってみようにはCDを聞くものと、今日学習した文法を使って活動するものと2つあります。
私は後者についてお話しします。

イラストがあればそれをそのまま使ってもいいのですが、イラストだとわかりにくいこともありますよね。
(学校がある地域のポスターじゃなくて全然違う地域のポスター/メニューが白黒でわかりにくい…など)

そんなときは、ポスターをカラーのものに作り変えたり、身近なところのポスターにしてしまいます。

イラストがない活動も、学習者のレベルに合っていればそのまま使っても大丈夫です。
もし、難しそう、いやもっとできるだろうというときは、活動を簡略化したり、もっと長く会話ができるように仕向けたりする準備をしておくといいです。

長く会話を作らせたいとき
・このときは前に勉強したあの文法も使え…ますよね?(文法を探しておく)
・このときはもっといい言い方ができますよね?(言い回しを準備しておく)

難しそうなとき
・やりとりを最低限にしてしまう
・とにかく学習した文法に注力する

まとめ

以上、『できる日本語』を使った授業準備について、どこから取り掛かれば効率がいいかどう準備していけばいいのか についてお話ししました。

  1. 文法分析
  2. 教科書の場面とつなげる
  3. 別冊の内容・規則性を確認(接続や品詞に注目)
  4. 言ってみようの導入を考える
  5. やってみようの活動を考える

日本語教師になったばかりで、どこから授業準備に取り掛かればいいのかわからない方や、準備に時間がかかってしまう方は上記を参考にしてみてくださいね。
流れが決まっている方が教案を立てやすくなるので、自分の中で段取りを決めていくこともいいかもしれません。

授業準備に労力をかけるのはもちろん大切ですが、他の業務に追われてしまい帰宅が遅くなる方もいると思います。この記事を読んだ方が少しでも、授業準備が楽にできるようにと思いながら書きました。
少しでも参考になれば幸いです。

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